『エルヴィス』感想/愛と分断のアメリカ。優しく、心から愛して

数多の名曲を歌い上げてきた史上最高の歌手、エルヴィス・プレスリー

果たして彼はどうやってスターになったのか。何を想い、何に生きたのか。

 

そもそもエルヴィスのファンということで楽しみにしてた本作。実は試写で観たので結構長い間感想を温めてたのですが、そろそろネタバレレビューも書いていいかなということで解禁。眠れぬ夜に書ききる胆力!

 

※観たよ~という人向け※

 

STAFF&CAST

監督はバズ・ラーマン。贅沢で魅力的な男を描かせたらピカイチな人という印象です。『華麗なるギャツビー』なんてレオがかわいくてかっこよくてかわいそうで愛しくて最高でしたね。『エルヴィス』のような輝かしい世界を描くにはもってこい。ワーナーのロゴをラメっちゃうハイパー・パワープレイっぷり。わたしは『ロミオ+ジュリエット』がお気に入り。

脚本は監督と共同でクレイグ・ピアース。おなじみバズ・ラーマン組のひとりですね。

製作は監督と共同かつ人生もともに歩んでいるキャサリン・マーティン。

 

稀代のスターを演じるはオースティン・バトラー。この作品を撮り終わったあと、寝込んでしまったとか。それだけの熱演っぷりです。とにかく色気がすごい。目元がそっくりでびっくりしました。いい俳優見つけてきたね…と勝手ににんまり。

エルヴィスのスター街道に寄り添い続けたパーカー大佐はトム・ハンクスによる熱演。特殊メイクで言われないと気づけないレベルに変貌してます。トムって大人で賢い人が上手いなーなんて思ってましたが、嫌味たっぷり豪勢おじさんもなかなか最高でしたね。

 

Review

愛と分断のアメリカ。

愛を知る人であったからこそ大成し、かつ分断を感じさせないからこそあの時代で特に魅力的に映ったのかな。

 

作中でも描かれるように、エルヴィスの音楽のルーツはいわゆる黒人音楽・白人音楽の融合にあります。まだまだ根強く差別が生活の当たりまえであった時代だからこそ、エルヴィスの音楽は画期的でもあり挑発的にも思われてしまった。それゆえに反発も多かった、ということが描かれています。分断を感じさせない新しい潮流はどの時代も受け入れがたいが、どこか魅力的。そこがかなり強調されているなーという印象が強かったです。今の映画っぽいですけどね。

 

個人的に、Love me tenderが使用されなかったのが信じられなかったりするのですが、逆にそれはあえてなのかななんて考えたり。

私を愛してくれと歌うこの曲を、ストーリー全体を通して表現していたのかなー。でもせっかくなら聴きたかった~。